日本が誇るオルタナティヴ・ロック・バンド、ルミナス・オレンジの、残響レコードから2009年にリリースされたベスト・アルバムに続く約2年ぶりとなる新作オリジナル・アルバム『Songs of Innocence』。結成から約18年目にして、本作に満ちている覇気と躍動感は何だろう?いわゆる「シューゲイザー」と形容されるバンドの多くが、立ち止まりながら「音の壁を塗り込む」ことに腐心している一方で、この「動き続けている」感は明らかに異質だ。
「Song of Innocence」はルミナスの曲のユニークさが顕著に表れている好例だろう。穏やかでポップな曲調だが、サビでの幻想的なソプラノ・パート、そして中盤の意表をつく軽やかな口笛の出現に思わずはっと心奪われる。「Untold」ではソリッドに突進していくドラムとギターが空間を鮮やかに切り裂き、「Sea of Lights」ではギターリフがねじれあうことで「光の海」というタイトルにふさわしい覚醒感に溢れた「光景」が広がっていく。「Autumn Song」ははねるような変則的なリズムと優雅なギターの音色が絡み合う軽やかな楽曲だ。間奏に挿入されるキラめくような電子音が効果的で、前作でのアプローチが巧みに消化されているのがわかる。「Yuekin Spring Moon」は不思議な展開をみせる曲で、見知らぬ場所に一人でつれていかれるかのような先の読めないメロディが面白い。
意表をつくような曲展開や、不思議なコード進行、変拍子など、アイデアの閃きも随所に感じられる。硬軟、緩急のついた展開を見せながらあっという間に過ぎていく濃密な1時間弱ルミナス・オレンジはこれからも動き続けていくはずだ。その最新の軌跡がここには鮮やかに刻み込まれている。
[TRACK]
1. Song of Innocence
2. Untold
3. Sea of Lights
4. Autumn Song
5. Riverboat
6. I Saw No More
7. Yuekin Spring Moon
8. Violet
9. Dusk, Train and the Bridge
10. Blaze of Light
11. Song of Experience
▼official HP
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